真実の不幸
- 作者: 唯野未歩子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/11
- メディア: 単行本
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☆
自分が不幸な女だった、
ということも恋人と出会ってから知ったことだった。
不運は両親の不仲でもなく、
母の再婚相手とうまく暮らせなかったことでもなく、
大学進学を断念したことでもない。
初めての恋人に妻子があったことでも、
次の恋人との子供を堕胎したことでもない。
34歳を迎えるまで、今の恋人と出会えなかったことだ。
結構な年月を、彼を知らずに生きてしまったこと。
少女の頃から、ずっと彼がそばにいてくれたなら、
きっと無傷でいられただろうと言うことが、
私の最大の不運であった
☆☆
あなたに会うまでの道のりは暗くて
町の灯を一人きり、遠くで眺めていた
自分らしさなんて言葉は嫌いだった
生き方の上手な人のセリフだった。