毒になる親 スーザンフォワード 毎日新聞社
- 作者: スーザンフォワード,Susan Forward,白根伊登恵
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2006/02/01
- メディア: 単行本
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■必要なものを与えられないために受ける傷
親が子どもに暴力を振るったり、執拗にひどい言葉で傷つけたのであれば、その親が「毒になる親」であることは容易に見分けが付く。
だが、「親の義務を果たさない親」の場合には、主観的な要素もあるうえ、それがどの程度のことなのかという問題もあって、
はっきり見分けをつけることが難しい。子どもが親から受けるダメージが、親が何かひどいことを”した”ことによってではなく、
何かを”しなかった”ことによって与えられた場合、その子どもが大人になってから自分の人生に起きる問題と親との関連性を見抜くことは非常に難しくなる。また、そういう親を持った子どもは、もともと自分の抱える問題と親との関連性を否定する傾向が特に強いので、その作業をいっそう難しくする。
問題を複雑にしている要因のひとつに、この種の親の多くは自分が抱える問題のためにすでに救いようのない状態にあるため、
他人がそれを見ると哀れを感じてしまうということがある。これは、その子どもとなればなおさらで、親の救いようのなさ、あるいは無責任さをみると、子どもはつい弁護したくなるのである。
それは犯罪者をかばって被害者が謝っているようなものである。そういう子どもが音になると、よく「親は悪意があってそういうことをしたわけじゃないんです」「彼らなりにできるかぎりのことはしたんです」
といって親を弁護するが、そのような弁護は、親が責任を果たさなかったという事実をあやふやにしてしまう。その子どもが健康な心の発達ができずに苦しんだのは、ほかならぬ親のせいだったのです。
自分にはどうして楽しい子ども時代がなかったのか、と考えてみることからはじめるとよい。
そして負わなくていい責任を負わされていることによって、自分はどれほどのエネルギーを消耗してきたかと言う事実を受け入れると良い。このことが理解できれば、あなたは生まれてはじめて、もう自分にはないと思っていたエネルギーがわき怒ってくるのを感じるだろう。
それは、これまでの人生の大部分において親のために費やしてきたエネルギーであり、本来なら自分をもっと愛し、自分に対してもっと責任が取れるようになるために
使うことができるエネルギーなのである。
■「自分が何か悪いことをしたのだ」と感じる子ども
多くの人にとっては信じがたいことかもしれませんが、
言葉の暴力で痛めつけられた子どもと同様、肉体的暴力で痛めつけられた子どももまた、
親がそのようにするのは自分が何かいけないことをしたからなのだろうと感じている。こうして、自分を責める性格はやはり、幼い頃にその種を植え付けられてしまうわけだ。
小さな子どもにとって「親が間違っていて自分は間違っていない」と考えるのはとても難しいことだ。
そこで、子どもは親の2つの嘘を信じることになる。ひとつは、「自分は問題のある悪い子だ」ということ、
そしてもうひとつは「親がぶったのはそのためであり、親のほうに問題があったわけではない」ということである。
この二つの嘘は、親から暴力を振るわれて育った子どもの多くが、
成人後もなかなか消すことの出来ない意識となって心の中に残ることになる。
こうしてその子どもはなかなか人の愛情を信じることが出来ず、また「自分は悪い子」という自己嫌悪が消えない。
そして大人になっても「人間関係がいつもうまくいかない」、「自分に確信が持てない」「自分は駄目な人間」、「不安や恐れ強い」「行動力がない」「特に理由がないのにいつも腹が立っているような気分がする」「自分は幸せにはなれないに違いないと思う」などの問題を抱えるようになる。
子どもが成長して身体が大きくなってくるに従い、
いつかは親の暴力もやむときが来る。だが、精神的な虐待は大人になってもなくなることはない。
ただし、大人になってからのそれは、自分で自分を痛めつけるようになっている、という点が違っている。