共に、で生きる

依存しあうことは
良くないことだといわれる。



未来など無く、どちらも幸せになれずに
ボロボロになってしまう。


だけど
それの何が悪いのだろう


互いが、互いなしでは生きれない、必要としている。


これほど瞬間的に幸せになれる
感情や存在意義を味わうことなど
できることがあるのだろうか


きっと
脆くて壊れやすくて先が無いことほど
幸せに感じることなんて無いのだろう。


まじめなわたしの不まじめな愛情

まじめなわたしの不まじめな愛情



私と彼の出会いは運命的でした。


運命的といえば
美しいロマンスの始まりのように聞こえますが
いいことばかりではない。

彼は出会ったときすでに
薬物依存症だったし
それだけでなく、もともとの性格にも問題がありました。


自分の思い通りにならないことがあると
キレて自暴自棄になり、クスリに依存するような弱さが
あったのです。



そして、問題は私自身にもありました。
私もまた、彼とは違った方向で自分の弱さを抱えていました。



離婚して以来、恋愛はどれもうまくいかず
ライターの仕事も期待していたほどの
達成感も収入も得られませんでした。


少しずつ不満のたまる暮らしの中で
私はアルコールを飲むことと軽い気持ちで男と付き合うことで、自分を解消していました。
実際は、解消などできず、日々追い詰められながら。


そんなマイナスを背負った同士がめぐり合ってしまったのです。
運命のように。


私は自分の力で彼を救い出し、同時に
自分も救われると思っていました。
おめでたいことに。


結果はさんざんでした。

彼はともかく、私は彼に出会ったことで、自分を支えていてなけなしの理性を手放しました。


どれほどアルコールにおぼれて
仕事のスケジュールは守っていたのに。
それも放棄しました。

どうにでもなれ。
それがそのときの心境でした。


毎日、意識がなくなるまで酒を飲み、
眠れるだけ眠り、目覚めると水分補給のために
水を飲み、少量の食べ物、たいていが
コンビニのサンドイッチかポテトチップなどの
ジャンクフードでしたが、
それらを流し込むように食べ
そのあと再び、酒を飲みました。


彼の狂気は、私が境界線を飛び越える手助けをしてくれたのです。


私がアルコールと睡眠の奴隷と化している間
彼とは電話で一度だけ話しました。


彼は至って健康、すべて順調だというのです。
私が、体調が悪くて何もする気が起きない、と訴える
「寝てるのが一番だよ」冷たく言い返されました。


看病に行こうか、病院に連れて行こうか、と
優しい言葉一つもありませんでした。



私は打ちひしがれました・
彼にとって私はすでに無用なのです。
いったい、いつ、しくじったのだろう。
何が、彼の気に障ったんだろう。


私の憂鬱は
彼に対する優越感を台無しにされたことにありました。


まさか彼の方から私を遠ざけることは予想していませんでした。
別れることになるとすれば、私の決断によるはずだったのです。


彼に嘆願され、彼と付き合ったのです。
私の方が明らかに優位な立場にいたはずです。


別れを求めるのは私であって彼ではない。

そう信じていました。



病院やダルクはともかく
私以上に頼る存在がいるとは思えなかった。


病院にしても私が連れて行ったのであったのだし
ここまで彼を理解する誰がいるというの。


私は、はっとしました。
そのとき初めて、私以外に彼を助ける存在があってもおかしくないことに気づきました。

自分だって、元だんなと遊んでいたのです。
どうして、一度も疑わなかったのでしょう。

自分に男がいるのだから
彼に女がいたって不思議じゃない。


彼は、私が人目で惹かれてしまったくらい魅力的な男なのです。
たとえ薬物依存症で、人間的にはまったくひどい男だったとしても。