連鎖を止める

もし大切な人が子どもの頃に性虐待にあっていたら―ともに眠りともに笑う

もし大切な人が子どもの頃に性虐待にあっていたら―ともに眠りともに笑う





子どもの頃の虐待は
成長するとどんな影響をもたらしますか?




性虐待の影響はかなり長期間続きます。




性虐待の一般的な影響がわかると
あなたとサバイバーの両方に
どのように影響しているかを理解する助けになり
今の混乱した気分は和らぐでしょう。





しかし
直面している全ての課題が子どもの頃に
性虐待された事実のせいではないし
あなたもまた、自分なりの人生の歴史を
二人の関係に持ち込んでいます。

性虐待の影響は他の人生体験との
組み合わせで違ってきます。





虐待の続いた期間
その深刻さ、加害者と子どもの近さ
家庭内の力関係、子どもを支える人間関係の有無などが
後の影響の大きさを決定付けます。



子どもが支持され、話に耳を傾けられ、保護される家族では、成人になってからの虐待の影響は殆どない場合もあります。
子どもが尊重されていなかったり、さらに虐待が重なると傷つき方は深くなります。






アルコール依存、放置
身体的虐待など家族の機能不全は
どれも影響の内容や仕方に関係します。



ある子どもにとっての性虐待は人生を左右するものであっても
ある子どもにとっては両親が死ぬほうがはるかに
重要な影を落とすこともあります。








ある家族では、アルコール依存、暴力、性虐待の悪しき影響が混在しています。

虐待の一般的な影響を理解すると、目の前にいるサバイバーに当てはまるものもあり、当てはまらないものもあることに気づくでしょう。

あるサバイバーは仕事では有能ですが
深く付き合うことに課題があるかもしれません。
また、意見交換や子育てが上手かもしれませんが、性生活に課題を抱えていることもあります。

虐待が長期間にわたって影響を及ぼすことを知るにつれて、直面する諍いの多くは虐待体験に行き着くことが分かり、あなたは簡単には解決できないので無力さを感じたり、欲求不満になったり、落ち込んだりするかもしれません。

あなたが性虐待の仕組みを知らないとしたら、二人の人生にどれほどの影響があるのか絶句してしまうかも知れません。

影響について

●自尊心

子どもに起きること

子どもとしての世界や境界が破壊されます。
自分の意志で自分を動かす感覚を失い、自分には価値がないと思い込んでしまいます。
屈辱を味わされ、本当に欲求するものは無視され、家族からも孤立させられます。
例えば、あの子はおかしいとか、嘘ばかりつくとか、虐待が起きたことへの責任が押し付けられて非難されます。
子どもの現実感と世界の捉え方は大きく歪められます。

●これが大人になって意味すること

大人になったサバイバーは、自分に非があるから虐待されたのであり、自分には価値がなく、他の人と自分とは何かが違っていると思っています。

サバイバーはこのような事を言います。
「みんなはこの透明なガラスの壁の向こう側で、現実的に生きて普通の生活をしているみたいに感じる。それで、自分はガラスの壁のこちら側にいるわけ。自分は何だか、他の星から来ているような気がする。」と。

サバイバーは自分と言うものの中心部が悪いか、間違っているか、汚れていると感じます。
サバイバーの羞恥心と自己嫌悪は、一見しただけではわかりにくくても、とても深いものです。
この自己嫌悪はたいてい2種類の表れ方をします。
ひとつは、サバイバーは自分の内側の嫌な感覚を補うために、完璧あるいは立派であるように努力します。
もうひとつは、自殺願望を抱く、自殺企図、わざと自分を傷つける、安易な性行為をするなど自己破壊的な感情を行動化することです。
また、物事がうまくいきそうになると腰を引いてしまったり、気持ちのいい人間関係が出来そうに鳴ると壊してしまうという微妙な現れ方をします。

サバイバーはどうやって自分を守るかがわからないし、どのように自分の直感や感情や内なる声に注意を向けるかがわかりません。
自分が尊重や配慮に値するとは信じておらず、人生で最も目立つ感情は無力感なのです。
この、どうせ何をしても成功しない、という感覚の性で危険な状況や傷つける人に近づいてしまいます。