女性が癒すフェミニストセラピー

セラピーが進むにつれ
「わたしは何を話せばよいのですか?」
「話さなければならないことを教えてください」
といい始めました。


Bさんは相手が自分に期待する枠組みの中でしか動いて来ませんでしたから、自分の意のままに自由に話すことが、どんなに大変なことかが明らかになりました。
「ロボットのように動かされてきたあなたにとって、心の奥深く埋もれている自分を発掘する作業は辛くて大変かもしれませんね」とセラピストが漏らした言葉に意外な言葉が返ってきました。
「辛くて大変かもしれないという言葉を聴いて安心しました。だってわたしはその大事な仕事があるということだし、それをすれば元気になるということでしょ」と柔らかな笑みさえ浮かべて話してくれました。そしてコレ以降、主体的に自分を語れるようになったのです。


女性たちはどのような職業を希望するのでしょう

多くの女性たちは
子供時代に大人になったら何になりたいかと聴かれて
「看護士さん」「お母さん」「幼稚園の先生」など

と応えるひとがおおいだろう。


考えてみると女の子に好まれる職種には
特徴が共通しているように思える。


まず第一に、人を世話する仕事だということです。
病人を世話する看護士、子供を世話する幼稚園の先生などです。


第二に
直接生産に結びつかない「シャドーワーク」という仕事です。

この言葉は目に見えない仕事という意味で「家事労働」に対して使われてきましたが、ここでは、直接物を生産するという意味合いのすくない仕事として使います。たしかに秒ににゃ子供や夫や老人などの世話は将来的に元気な生産活動を担う人を作り出すということにつながりますが、当座は直接生産活動につながらない陰の仕事なのです。
第酸に人間関係を対象にした仕事なのです。仕事は元来、社会的な活動ですから人間関係を度外視しては成り立ちません。とりわけ上記の職種は直接人間関係に働きかける仕事なのです。
それではなぜ、少女たちはこのような仕事に就きたがるのでしょうか。それは少女たちの育てられ方や躾けられ方に関係があると言えます。
第一に世話に関しては少女たちがそれぞれの家庭で家族を優しく世話する母親を見て育つこと、母親が身近な女性の理想モデルになりやすいこと、ままごとやごっこ遊ぶなどを通じて世話(ケア)役割の練習すること、などと関係があります。さらに、家庭から広い社会に出たときに最初に出会う保育園や幼稚園の先生もケア役割を担う理想のモデルになりやすいでしょう。
第二に、シャドーワークに関しては、少年たちへのメッセージが自立と積極性と行動力であるのに対して、少女たちへのそれは依存と協調性など、表に表れない影の生き方が暗黙に奨励されています。シャドーワークとは、まさに実態の影になる仕事、男性が積極性と行動力で推し進めていく仕事を陰で支える仕事であり、育ちの中で暗に少女たちはこれを刻印付けられてきたのです。
第三の人間関係に関しては、ミラーが述べているように、少女たちは発達過程で少年たちのように分離や自立を強制されないために、長く母親との二者関係を享受できるのです。したがって、母親をモデルにしながら相手の気持ちに敏感に反応したり相手の立場に自分をおいて相手を慮ったり、様々な人間関係能力を発達させていきます。
さらに自分を迎え相手に合わせて人間関係を円滑にすること、そのことを行って評価を受けるというご褒美まで用意されていることなども関係あります。こうして、女性たちは二元関係のエキスパートとして育っていくのです。


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